【146話】見返す
中学高校とすれ違う度に複数人にキモいと言われ続けて、高3で精神崩壊して中退した。今は高認取ってそこそこの大学に通ってる。
去年の夏休みに実家に帰る途中の電車の中で、
中高一緒で俺にキモいと言い続けた奴が前の座席に座ってた。
俺は大学に入ってから20kg近く痩せたから相手は気づいてないようだった。
相手はいかにも田舎のヤンキーみたいな格好してユニクロの袋にペットボトルとか入れて漫画読んでた。
その時点で少し恨みも減ったけど、何かやり返さないと気がすまないと思ってたら相手が降りてしまった。
その夜に実家近くのスーパーに行ったらそいつを含めた
キモいと言い続けた3人が品出ししてて思わず笑いそうになってしまった。
とりあえず一人がでっかい檻みたいなカート?を押して移動してたから、
それとなくカートに鞄をひっかけて商品棚にぶつけさせた。ふりかけ類の商品が床にぶちまけられた。
相手は「申し訳ありません。お怪我はありませんか?」とかめっちゃ謝ってきて面白かった。
そいつと一緒に商品を拾ってたら電車にいたやつも走ってきて、一緒に商品を拾い出した。
二人とも終始俺に謝りっぱなし。
商品を拾ってる時に話をしてみた。
俺「二人とも学生の方ですか?」
電車のやつ「いやいやフリーターですよ」
俺はカートにぶつかる前に貼り紙で時給が720円であることを確認していた。
俺「時給720円でこんなに働けるなんてすごいですね。私は学生ですが、時給1050円ですよ」
俺「私も・・高校を卒業していたらこんな生活してたと思うと怖いですね。中退してよかった」
二人とも顔を見合わせてポカーンとしてた。
「・・だけど覚えてる?キモいから忘れちゃった?」って言ったら
電車のやつが思い出したようで、小声でカートのやつに何か言ってた。
カートのやつ「死んだのかと思ってた…」
どうやらやつらの間では俺は自殺したことになってたらしい。
「恨んだまんま死ぬわけないだろ。自殺するくらいならお前らを殺してからやるわ」とか言ってたら、
二人ともごめんごめん言ってきて楽しかった。
片付け終わったら二人ともそそくさと裏に戻ってしまった。
もの足りなかったのでお客様の声とかいう紙にやつらを名指しで苦情書いといた。
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