【80話】痘痕も笑窪
同じ会社で働く彼と付き合い出したのは、私からの告白がきっかけだった。友達いわく、誰が見てもちょっとキモオタ、なんか違う意味で怖いW
そんな彼だけど、いつニコニコしていて、そこにいるだけで場を和ませる彼が大好きだった。
ところが、付き合いだしたら、今までの彼とは全く違い常に意地悪をしてきた。
俺はお前の顔嫌い、服が嫌い全部嫌い、俺は○○さんのような女と付き合いたかったのに、
なんでお前が彼女なんだ?と言われて、私が泣くと
お前俺の事好きなんだろ?お前が付き合いたいって言ったんだよな?とご満悦で、優しい笑顔になった。
その笑顔を見ると、私が頑張れば優しくしてくれるかな?って色々尽くして努力した。
冷静沈着な罵倒で、泣かされてばかりだけど、彼は私以外には優しいから私が悪いんだと思っていた。
彼以外の社員からはモテてるのを知ってるのもあって、
私が褒められている話をうれしそうにするようになって
色々な場所に連れて行ってくれたり、彼がたくさん笑ってくれるようになり、すごく幸せになった。
努力は実るものなんだね。
彼が撮ってくれたたくさんの写真を二人で眺めて、こっち向いて微笑んでくれた。
泣きそうなくらい幸せだったからつい、私の事少し好きになってくれたの?って聞いてみた。
そしたら急に彼の顔が真顔になって、全っ然っ好きじゃないどころか嫌い!!
嘘~っ?まだ1個も良い所見つからないかな?まだ私の事嫌い?
は?お前に良いところなんて、どこにあるの?どこを好きになれば良い?教えて欲しいよ。
いつもながら冷静沈着なトーンで言われて、慣れてはいたものの、このタイミングでそれ?
今までの事が走馬灯のように頭をグルグル駆け巡り、やっと目が覚めた。
復讐開始
その頃、彼は車を買おうと計画していたので、車が好きな私も協力してデート代をほぼ負担していた。
だから、車種決定権の半分は私にもあった。彼も納得済み
私はあえて彼の好みと真逆を押した。
ガソリン代は私が出すからって事で、燃費最悪なDQNカーで色もワインと微妙な色を指定。
私本当は彼と同じ好みの車が欲しかったけど、もう乗る予定はない。どうでも良いけどノリノリを装う。
彼は渋々ながらも契約、そして納車の日、私は友達の家にいた。
納車後にすぐ迎えに来た彼、ニコニコ得意げに降りて来た。
もう覚めているから、本当にキモオタ以外の何者とも思えない。
友達と二人で窓から顔を出し
何それ?本当に買っちゃったの?格好悪いよ~Wダサキモい人の横に乗りたくないし、帰ってくれない?
友達・うちの前に車停めないでよ~帰って~警察呼ぶよ。
彼は、わけがわからないと言う顔をして帰って行った。
翌日、会社で呼び止められた。
怒ってるけどヒソヒソ言ってて怖くない。
私なんかと付き合ってると思われたくない、との事でいつも通りにコソコソと手短に話そうとしている。
別れよう、私が言うと彼は色々言い始めた。
せっかく付き合ってやってんのに勝手だとかなんとか言ってる。
これも毎回お馴染みのセリフで聞き飽きていた。
大きく息を吸い込んで、キャーーッやめて下さい。やだー誰か助けてーー!!
すぐに他の社員が来た。
誰が見てもちょっとキモオタな彼と、泣いてる私
今までの気持ちが溢れて大泣きしてるだけだけど、何も言わなくても噂になった。
彼は堪えきれず自己都合で退社する事になった。
今は派遣で頑張ってるみたい。
私は優しい彼と結婚して、お気楽に2ちゃんねる三昧W
キモオタに限らずちょっと歪んだ人って、吊れた魚には餌をやらないんだよね。
本当は好きなのに、褒めたりすると調子にのると思って真逆の事言ったりやったりする。
バカだ不細工だなんて言って自己評価を下げさせて、
こんな私には彼しかいないって洗脳するんだよ。
別れて良かったね。
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