【59話】忘れる
高校生時代、身長150cm弱体重80k前後の私は見事なデブだった。毎日毎日馬鹿にされ、陰口を叩かれ石を投げられたり牛乳パックを
ぶつけられたりした。暗黒の学生生活だった。
一時期は自殺をも考えたが、内科で栄養指導を受けダイエットに成功。
人並みに恋をして、幸せな結婚生活を送っている。
主人の実家は事業を経営している。
地元でも優良企業らしいが、義兄が跡取りとして決まっているので私達夫婦に発言権はない。
数年前に義実家に遊びに行った時、偶然高校時代に三年間一緒だった(らしい)
クラスメート達と再会した。
相手は懐かしそうに話しかけてくるが、私に高校時代の友人は居ないし記憶もない。
「失礼ですが、どちら様でしょうか?」
私はそう言っただけ。 何故か彼らの顔は真っ青だった。
夕食時に義両親と義兄夫婦に彼ら彼女らとの関係を聞かれた。
正直に「覚えてません」と答えた。
卒業アルバムにも一緒に写っているが、当時の私に友人は一人も居なかった。
今の毎日がとても幸せなので、思い出せもしない過去の古傷など
振り返りたくもないと正直に言った。
義両親も義兄夫婦も「悪かったね…」と謝ってくれたが、謝らないで欲しい事と
今、本当に幸せなのだと伝え夫婦で仲良く帰宅した。
その後、主人の口から義兄が義妹の親友だという触れ込みで
取引をしていた会社と縁を切ったらしいと聞かされた。
「つまらない嘘をつく会社があるものだな」とそのまま忘れていた。
先日、出かけた先で老婆に突然殴りかかられ驚いたが
それよりもっと驚いたのはその老婆が、かつてのクラスメート?だったと言う事。
「お前のせいで私の人生破滅だ!」と喚かれたが私は何もしていない。
(彼女も私も三十代)
綺麗に忘れる…という復讐方法もあるのだと知った記念カキコ
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