【265話】イケニエ
中学の時、東京から関西に引っ越しした。父親が会社経営者だったり、東京から来たということで、色々目ざわりだったらしい。
最初は一生懸命クラスにとけこもうとしたけど、
「東京弁で気取ってる」「社長令嬢だと思ってお嬢様気どり」
などと言われイジメに遭うように。
一生懸命関西弁で喋ろうとすると「発音が変」と余計にいじめられた。
担任に相談したが、担任は取り合ってくれず。
「イケニエが一人いた方がクラスが団結するんだよな~」
みたいなことまで言われ、生徒の人気とりのためか、先生が率先して私を攻撃するようになった。
完全に「コイツいじめておK」の雰囲気になった。
ある日、私の机が水浸しにされていたので、一生懸命タオルでふいていたら、先生が来た。
「おい、もう授業やぞ!何やってんねん、ドアホ」
と、私に怒る。イジメだと知ってるのに。
いじめっ子たちはクスクス笑っていた。
ブチキレた私は
「担任のあんたがきちんと仕事しないから、イジメに遭ってんですよ。監督不行届きです」
と反撃。
すると先生も怒りだし
「社長令嬢か知らんがどんだけ甘やかされとんじゃ!親の顔が見たいわ」
というので
「ウチの親父は所謂経済ヤクザでしてね(事実)。
インサイダー取引でヘマしやがりまして今ムショで臭い飯食ってます。
出所したら真っ先にアンタのとこへ挨拶に行かせますよ、先生。
うちのクソ親父のツラが見たいなんて抜かす奇特なバカはアンタが初めてです。
クソ親父も喜びますよ」
と答えたら、先生もクラスのいじめっ子も青くなってた。
イジメもぴたりとやんで、先生も別人のように腰が低くなった。
転校したのは「父親が逮捕されて居心地が悪いだろうから、親戚の家にしばらく避難」というのが理由だったが、自分でわざわざ事実をバラしてしまい、それ以来ヤケクソになってグレてしまった。
グレると言っても、意地悪担任の授業中に机にずっと足を乗っけてふんぞり返って授業を無視するとか、クラス全員を扇動して担任の授業中に一斉に筆箱(カンペン)を落っことして担任をびびらせるとかその程度だが。
先生は半年でノイローゼ&登校拒否になってしまったが、反省はしていない。
今は誰にも言えないから墓場。
普通の家に嫁いで、普通の母親やってるし。
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