本当にあった復讐の話

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【233話】「手が一杯だから大口叩くならお前がやれ」と逆切れ&丸投げ。

昔の会社の先輩の話。
無計画で仕事の工程すらまともに立てられない上司の暴君ぶりにみんなが根を上げる寸前で先輩は
”みんなの許容量を見極めて工程をたててください”
と会議で言った。
するとその上司は
”僕も手が一杯だから大口叩くならお前がやれ”
逆切れ&丸投げ。
先輩はその場で言い返さず自分の膨大な仕事をこなしつつ20人分の仕事内容、納期を把握していた。
その上、納期が遅れそうな奴の分を自分はもちろん少しでも余裕のある人を集め間に合わせ、相手先へのフォローのTELまで完璧にやってのけた。
そんなめちゃくちゃな状況の中新人が2人入ってきた。
仕事を教えるなんてとても、という状況でもその先輩はきちんと2人まとめて面倒をみていた。
さすがにその二人も申し訳なさそうに”すみません…”と言うと
”なに、覚えたら自分の分も押し付けるからそれまでガンバレ”
とカラカラ笑って言っていた。
どんな状況でも相手に負担を掛けないユーモアと知性を持ったすごい人だった。
上司や役員連中は生意気な奴だ、と嫌っていたので使えるものはいいように使ってやる、といった具合にいやな仕事を押し付けまくっていた。
そんな状態で3年が過ぎるころ・・・

その先輩が辞める事になった。
理由は
”今後子育てしながらこの仕事していけるとは思えない、他の人達に多大な迷惑が掛かるのはわかっているから”
その先輩は女性です。
上司たちは慌てました。待遇や年俸も考えるから、と。
でも先輩は頑として首を縦には振りませんでした。
仕事の引継ぎは勿論、円滑に仕事を進めるウラワザ?も伝授し
退職の日、社長以下、皆がそろった席での挨拶で
”上に立ち人を指導する立場にいる方々は困っている部下を助け導くというのが最大の仕事だ、ということを今一度よくお考えください”
といった。
役員真っ青、ぺーぺーは拍手喝采。
そして今会社は業績下降中。彼女の抜けた穴は想像以上に大きかった。
何人分の仕事をしていたのだろう。
あの挨拶以上に会社への復讐になっているよ。
男から見てもあんなオトコマエいない、と思える人だった。
その人の名言
1、仕事の出来る上司とは能力のない部下にも仕事を与え  円滑に仕事を進められる人だ。
2、同期・後輩の事を悪く言うな、悪く言っていいのは自分より上の立場の人のことだけ。
それ以外はただのいじめになる。
3、人に何かして欲しければその倍の事を相手にしてあげてからにしろ。
4、なんてね。めちゃくちゃ腹黒い私が言うなって(笑
などです。
オフィシャルな場面では皆に公平な人でした。
今は潔く専業主婦だそうです。

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