【169話】仲間割れ工作
もう15年以上たっているから時効と判断した。フィクションだと思って聞いてほしい。
中学の頃、大津市の程ではなかったがいじめを受けていた。
加害者連中をA、B、Cとする。Aは札付きのDQNで有名で俺の事を
常日頃からいじっていた。BCはAの腰巾着でAがいないと何もできない連中だった
Aはよく俺にプロレス技をかけてきたりボクシングの真似をしてきたが、加減をわかっていて
ある程度の所で止めていたのが幸いだった。問題なのはBである。Cはヘラヘラ笑っていて殆ど何も
してこないが、元来調子に乗る奴だったBはAが飽きていなくなった所を殴りかかってくるようになった。
それだけでは飽き足らず、俺の教科書や上履きを便所に捨てるようになったりしだした。
殴られるだけなら耐えれたが、ある日婆ちゃんが作ってくれた手提げを
Bが墨汁づけにしてて真っ黒にされたあたりで堪忍袋の緒が切れた。
何とか一矢報いてやろうと決意した。
前々からBとCとつるんで夜な夜なスプレーでシャッターや
塀に落書きをしているという話を思い出し作戦を決行。
当日の夜、塾に通う私は塾の課題を速攻で終わらせ普段よりも30分早く塾を出る事に成功した。
ここで私は塾を出るときに予めくすねておいたBの名札を学ランの胸につけておいた。
電車とダッシュでAのマンションへ向かう。マンションに着いたら監視カメラがあると考えグラサン+マスク装着
脳内でミッション=インポッシブルのテーマを鳴らしながらAの住む部屋の階へ移動
階段の踊り場で、ジュースの缶を取り出す。
中身はやらなくなったミニ四駆用のプラスチック塗料だ。こいつはちっとやそっとじゃ落ちない。
家にあった12色を全部ごちゃ混ぜにし、何とも言えない不気味な茶色の液体がそこにはあった。
一瞬躊躇ったが、ダッシュでAの部屋の前に行き、中身を半分くらいぶちまけた。
見事にドア全体に妙な色の液体がかかった。磨いても落ちないだろう。
此処で誰かに見られてはジエンドだったがこの時点では誰にも見られていなかった。
直ぐに一階の勝手口から表に出て、駐車場に停めてあるDQN臭そうなAの家の車の窓に残りの半分をかけた。
序に鍵穴にアロンアルファを突っ込んでおいた。で、グラサン+マスクのまま敢えて人通りの多い
正面玄関から脱出した。この時に同じ中学の連中に出くわした。ダッシュでBの家の方へ逃げた。
その後、遠回りをして変装をといて何事もなかったように帰宅した。
翌日、緊急の全校朝会が開かれた。
何でも家の中学の人間がAの住むマンションにイタズラをしたんだとか。
マンションと住人は警察に被害届を被害届を出した。近い内に警察の事情聴取が
あるかもしれないとの事だった。
内心、ビビッていたがアリバイ工作は完ぺきだった。
まず、俺とBは顔こそ違えど身長や体つきはそっくりであること
次に、俺は県内でも有数の厳しい塾(普段23時くらいまで残らされてた)にただ一人電車で通っていたので
「塾にいた」といえばそれで先生や周りの生徒は信じたこと。
また、Bの名字の名札付けた怪しい奴がいたがBに違いないと先日の目撃者が言っていた事
更に、その日はCが両親の都合で帰郷しておりBが一人でスプレー缶をもってウロウロしているのを
何人もの人間が見ていたことが発覚し、疑いの目は完全にBに向けられた。
何よりぶちぎれたのはAだった。奴はBが犯人だと決めてかかり、その日の昼にBを読んでフルボッコにしていた。
Bは「知らねえ、知らねえ」と叫んでいたが聞く耳持たずのAはBを教師が止めるまで殴り続けた。
Bは血だらけで救急車に担ぎ込まれていった。俺は授業後家に帰るまで笑いを堪えるのが大変だった。
その後、AはDQN家族総出でB家を告訴するとファビョりまくったらしい。
B側も「ウチの子がそんな事する訳がない」と全面戦争の構えを見せたが、
目撃証言からBが犯人だという事が決定的になりB側がA側の条件を呑んで相当な額の示談に応じたらしい。
Bは前歯が全部差し歯になり、目が細くなって見るも無残な姿になった。その後転校していった。
何でも示談金が原因で離婚したらしい。
一方の俺は、証拠を隠滅する為に墨汁漬けになった手提げとグラサンと塗料の瓶を
ばあちゃん家の裏庭で燃やした。この時ほどスカッとした時はない。
因みに、AとCとは何故か仲良くなった。
こいつは墓まで持って行く心算だったがAが事故死したのでもういいでしょ。
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