【372話】腰を触ったら何か生えてる。
人違いで刺されたことがある。結婚式場で仕事してたんだが、写真撮影に使う、造花のアーチを解体してるときにいきなり刺された。
ドン!って鈍い衝撃が体に走って、その時は
「誰かが走ってきてぶつかったのかな?気をつけろよ全く~」
って思ってた。
振り返ってみたら、自分の腰あたりに小柄な女性がくっついてる。
「あの、お客様…」
って声かけたら、その女性が叫んだ。
「何っ!!誰!!?」
って。
こっちからしたらお前が誰やねん、ですよ。
んで、ぎゃーぎゃー喚きながら走って行ってしまわれました。
追いかけようとしたら、体に力が入らない。
身体中に激痛が走る。
特に腰が痛い。パニックになるけど声が出ない。腰を触ったら何か生えてる(この時は本当に生えてるって思った。)
気がついたら同僚が叫んでた。自分も立てないくらいの激痛と息ができない苦しさで、そこから先はあんまり覚えてない。
回復してから知った事実。
その女性は、彼氏に二股かけられて捨てられた人で、彼氏がバイトしてるのが我が職場だったと。
んで、作業中の自分の後ろ姿を見て彼氏と人違いして刺したらしい。
刺したのは普通の包丁、結構根元まで入ってて、生死の境をさまよった。
人違いで危うく殺されるとこだったっていうことにも衝撃を受けたが、それよりも。
自分が「男と間違われた」ってことにショックを受けた。
身長176、やせ形で職場の制服もサイズ合わないからってパンツスーツ着てた自分も悪いけど、せめて前から確認してほしかったorz
前から見たらちゃんと女だと認識される外観で、男と間違われることはそれまでなかったのでorz
病院に来た上司と同僚が、事情説明の時に、ものすごい憐れみの眼差しを向けてきたよorz
家族にも泣かれるし、警察の人にも「髪、のばしたらいいかも…」とか言われるし、地味に凹む衝撃の出来事でした。
後遺症としては、腸が一部なくなっちゃったのと、しばらく寝たきりだったのでリハビリに時間かかりすぎたってことが地味に辛かったです。
女性は、傷害で逮捕されて、執行猶予期間中に今度こそ彼氏を襲撃したらしく、今は塀の中って聞いてます。
襲撃内容はあえて聞いてないです、怖かったので。
髪も、長くしてると「デカイのに頑張りすぎw」とか言われたりしたことがあったので、長めのショート+ゆるめパーマにしてました。
顔がハの字眉毛のタヌキ顔だから、男に見られることはなかったので、相当びっくりしました。
警察の人も、正直何て言ったらいいか…ってなってましたね。
「もう少し伸ばしたら間違えない…いやでもいるよなロン毛も…」みたいに苦悩してました。
しかし間違いで殺されなくてよかった…
この事件以降、背後に人の気配を感じると、身構えるようになってしまいました。ある意味これも後遺症かも。
実家で飼っている猫が背後に立った時にファイティングポーズをとってしまい、それ以来猫に嫌われてしまっているのも悲しいです。
また、女性のご両親が謝罪に来て、治療費と少し上乗せでお金を置いていったそうです。
入院中で、私は知らなかったのですが。
直接の謝罪は受けませんでした。心まで壊したくなかったので、会いませんでした。
私側の関係者サイドも、もう関わらないが吉という判断です。
GW明けに、別部署ですが職場に完全復帰する予定なので、厄落としに書いてみました。
事件が1年半前、リハビリ半年…そこから完全復帰までも長かったです。
何だかまだがんばれそうです。本当にありがとうございました。
後遺症で1つ。
当然っちゃ当然なんですが、包丁怖くて触れないです。
見るのは平気ですが、触るとあの時の「生えてる」感じを思い出してしまいます。
早く触れるようになりたいですが、もう少し時間かかりそうです。
あと、友達から「ショボゴルゴw」(ショボーンの顔+反応ゴルゴ)と呼ばれるようになったのも後遺症といえるような…
何も悪いことしてないのに刺されることもあるなんて、という修羅場でした。
励ましてくださった方々、ありがとうございます。
とりあえず髪を伸ばしつつ、がんばります。
では、名無しに戻ります。
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