【36話】アレルギー性ショック
看護士をしています。まだ看護学生だった時に、合コンの後なぜか悪酔い。
気が付いたら、合コンで顔を合わせたばかりの男性の部屋。
もう後の祭りで、泣きました。数日続いた身体の痛みと違和感、出血に寝込みました。
警察に訴える事も考えましたが、もう一度これを話さなきゃいけないことが嫌で嫌でたまらなかった。
看護学生のくせに、と思われそうですが、医者に行く勇気も持てないうちに妊娠を自覚。
2か月のうちに堕胎。小さな命を自分で殺してしまった罪悪感と、
堕胎時の手術から感染症。予後の体調不良。
一年を棒に振りました。その後なんとかまた学校に復帰しましたが。
噂話で、薬を酒に混ぜて昏睡させて、あちこちで同じような
事をしている奴だ、と聞き、また悔しさに泣きました。
看護士になって数年目に、その男が急病で自分の務める病院に救急搬送。
スタッフの努力と本人の生命力でかなり回復。
ところが退院前夜に見回りをしていたら、声高にその男が
同室の男性患者と楽しげに武勇談を吹聴。
血が引くような思いで聞きました。
本来なら退院する筈の朝、その男性は突然急変。亡くなられました。
前夜に勝手に飲み食いしていた物(酒・つまみ)の
どれかににアレルギー性ショックを起こしたようでした。
男性は沢山のアレルギーをお持ちでした。
退院だ、と浮かれて、注意を怠ったのでしょうね。
病院では飲食を禁じています。
自分はその夜キチンと注意しましたから。
「今夜で看護士さんともお別れだから寂しいよ、こっそりどっかで一発やらせてよ」
「君の事を考えてて眠れないんだ、眠剤くれない?」
などと、自分を見憶えてもいないくせにふざけたことを言っていましたね。
個人の冥福を祈りつつ。
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