【103話】許せない発言
うちの祖母は戦前くらいの悪い価値観持った人で母は当たり前、俺にも意味が分からない言動や行動でひたすら迷惑をかけ続けてきた。
それだけならまぁただのババァですんでたんだけど、絶対に許せない発言が一つだけあった。
それは10年以上前、うちの母方の祖母が癌で余命幾許も無くなって、
毎週末母と一緒に見舞いに行ってたんだが
その事でババァが切れて、「どうせ死ぬ人間の見舞いに行く必要があるか!」と怒鳴りやがった。
母号泣。嫌なこと満載で忘れたい事だらけの生活だったけど、これだけは絶対に死んでも忘れられない。
そして去年くらいになってようやくババァが死にかかった。偶然にも母方の祖母と同じ末期の癌。
父から電話を受けて俺は大学を休んで平日に帰省。
病室で昼間の間ババァの面倒をひたすら見つつ、
一応「余命少ない祖母を見舞うやさしい孫」をひたすら演じ続けた。
ババァ何勘違いしてるのか俺のほう見て手を合わせて拝んでいたよ。
で、大学に戻る最後の日、誰もいなかったので言ってやった。
「本当はどうせ死ぬ人間の見舞いに行く必要なんて無いのにね」
って思いっきり笑顔で。
もともと半分ボケてたけど、言われた内容は分かったんだろうね。
何かよくわからんこと散々言われたけど、自分が以前言ったことだとは思わなかったみたい。
まぁそんなババァをほっといて、俺はそのまま大学に戻った。死に目にも会おうとは思わなかった。
今年の8月にお盆で墓参りしたけど、母が「婆さん向こうで元気なんだろうか」と言ったから
「あのババァが天国なんぞいけるわけねぇじゃん」と答えておいた。
すごく微妙な表情されたけど間違ったことは言ってないと思うから気にしない。
もしかしたら両親や親族が気付いている可能性もあるんだろうけど、
誰も何も言わないから気にしないことにしてる。
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